ライトアップウォークについて

長い歴史を有する寺社が数多く立ち並ぶ博多地区。「ライトアップウォーク」は、寺社の建物や庭園のライトアップをすることで、市民や観光客の皆さまに博多地区の魅力ある歴史的な景観により親しんでいただきたいという思いから、2006年にスタートした光のお祭りです。 今年は、例年の御供所地区「承天寺」「東長寺」「妙楽寺」に、冷泉地区の「櫛田神社」が加わり、「御供所・冷泉ライトアップウォーク2009」と題して開催。さらに、昨年までは3日間の日程で行っていましたが、今年は計6日間と2週に分けて実施します。 各寺社では、日頃見ることができないエリアも特別公開されます。さらに散策の途中に楽しめる催しや御休憩処「御供所夜市」「冷泉夜市」も開催。 秋の宵、心に響く光の饗宴を存分にご堪能ください。
環境に配慮し、各照明メーカーが寺社を照らす照明の電力を極力抑える努力をしています。各寺社の紹介には、エリアごとの照明が私たちの生活の中のどの部分に相当するのかを示しています。

光と感動が散りばめられた歴史深き博多のまち

総合プロデューサー 松下美紀 (照明デザイナー)

寺社群が数百年の時を刻み、歴史や伝統行事を語り継ぐ、博多の宝物ともいえる御供所エリアから始まったライトアップウォークも4回目を迎えました。
さらに今年は、博多の総鎮守である櫛田神社が会場に加わり「御供所・冷泉ライトアップウォーク2009」と題して開催いたします。
毎年、ご来場いただく皆さまに日頃出会えない、厳粛、幽玄、優美…一言では言い尽くせない光の世界を心と体で感じ取っていただきたいと、各寺社を担当する照明メーカーが試行錯誤を繰り返しています。
御供所エリアの会場である承天寺、東長寺、妙楽寺ではこれまで同様、寺が持つ3つの顔を大切にしています。地域の暮らしに根づき親しまれる「日常の顔」、儀礼や祭り、年中行事など人生のハレの日を過ごす「非日常の顔」、一般の人々は踏み入れられない仏の世界を守る「神聖な顔」。各寺はさまざまな顔を持ち合わせ、そこに光が加わることで私たちに寺自体の存在の大きさと奥深い魅力を感じさせてくれます。
また、博多・園山笠や節分大祭などの行事で賑わう冷泉地区の櫛田神社では、いつも接している光景とはひと味違う感動をもたらしてくれるでしょう。
もちろん今年も各所「地球にやさしい光づくり」にこだわっています。電力を極力を抑え、新しい技術を積極的に取り込み、環境に配慮したライトアップを実現しています。
今回のライトアップウォークの一番の見所といえば、日頃見逃しそうなものに着目し、光をあてたというところです。菊の御紋、鬼瓦、小便小僧、樹木…光に導かれながら、今まで気付かなかった寺社たちのちょっとした表情を探して歩いてみてください。宵闇に隠れていたものが、光を受け昼間とは違う幻想的な雰囲気を創り出しています。そして御供所と冷泉エリアを歩き、寺と神社のそれぞれが持つ空気感を感じ取っていただければと思います。博多でしか出会えない、6日間だけの光の祭典。光が持つ不思議な力と多様性が生み出す静かな感動を、皆さまの心にお届けします。

櫛田神社/Kushida jinjya

櫛田神社
 地元の人々から「お櫛田さん」と親しまれる博多の総鎮守。社伝によれば、天平寶字元年(757年)に伊勢国から大幡主大神を勧請し鎮祭するために創立されたといわれています。江戸時代には東長寺に属する神護寺が櫛田神社を管理していましたが、明治元年(1868年)に神仏分離令が発布され独立しました。
 境内には樹齢千年といわれる銀杏や蒙古軍船の碇石、秀吉の朱印状などを展示する歴史館もあります。また毎年夏に開催される博多祇園山笠では、早朝の太鼓の合図とともに舁き山が境内の清道を巡り、博多のまちへと駆け出します。

拝殿/Haiden

櫛田神社/拝殿 破風を飾る木彫博多風神雷神、櫛田神社や博多にまつわる絵で天井を彩る天井絵を配した拝殿。横には霊泉・鶴の井戸、筆塚、櫛塚、大正天皇行幸殿があります。拝殿前の社門の柱が闇に浮かび、拝殿へと続く光の世界に期待感が高まります。象徴である大しめ縄にボリューム感のある光を、拝殿全体には重厚感のある光を演出します。
電力:約310w ジューサーミキサーと同量

楼門/Romon

櫛田神社/楼門 赤く大きな提灯がシンボルの楼門に強中弱の3種類の光をあて、陰影によって表情を創出します。楼門をくぐり右側にある「手水舎」では、LEDのやさしい光の中、身を清め本殿へとお進みください。楼門左側には、樹齢千年以上の「櫛田のぎなん」がスポットライトを浴び、よりスケール感のある姿を現します。
電力:約580w 電気こたつと同量
協賛:三菱電機照明株式会社協賛:ヤマギワ株式会社 福岡営業所

博多べい/Hakatabei

櫛田神社/博多べい 戦国時代の戦火により焦土と化した博多は瓦礫のまちになってしまいました。しかし豊臣秀吉の太閤町割りによる復興の際、焼け石や焼け瓦を埋め込んだ土塀が町中に作られました。度重なる戦禍の焦土から奮起した博多の根性と心意気を、闇に力強く浮かび上がる博多べいの姿から感じ取ってください。
電力:約90w 電気毛布と同量

茶室/Chashitsu

櫛田神社/茶室 多くの参拝者が往来する境内から少し奥へ進むと、閑静な空気に包まれた茶室と庭園が現れます。歴史を感じさせる落ち着いた佇まいの茶室には強弱の光があてられ、より厳粛な雰囲気を創出します。茶室の隣には朱色の鳥居と石畳が連続する「注連懸稲荷神社」があり、光と影の幻想的な光のコントラストが楽しめます。
電力:約730w IH炊飯器(3合)と同量

南神門/Minami-shinmon

櫛田神社/南神門 川端商店街側に立つ南神門。屋根先端部の寺紋や彫刻の形の美しさを強調する光が門に存在感を与え、人々は導かれるように境内の中へ。南神門の側に立つつげ櫛をイメージする「櫛碑」や豊かに茂る樹木にも光があてられ、昼間とは違った幻想的な雰囲気が広がります。
電力:約220w 冷蔵庫(小型)と同量
協賛:株式会社ユニソン西日本協賛:株式会社ジーエス・ユアサ パワーサプライ協賛:岩崎電気株式会社

承天寺/Joten-ji

承天寺
 承天寺は仁治3年(1242年)に創建。源頼朝によって鎮西奉行に任じられた大宰小弐武藤資頼が寺地を喜捨し、博多に居住して対外貿易に活躍した宋人貿易商の謝国明が大檀越(施主)となり、6年間、宋に留学していた聖一国師を招いて開山されました。勅許により官寺とされ、西海の巨刹として栄え、盛時には塔頭四十三寺を有したと伝えられています。
 聖一国師は宋から「うどん」「そば」「饅頭」などの製法を持ち帰り粉食文化を広めた人。750年以上前に始まった博多祇園山笠の起源にも深く関わり、博多の昔語りに欠かせない聖一国師の息吹をここで感じてください。

仏殿/Butsuden

承天寺/仏殿 開創750年を記念して、昭和28年(1953年)に解体された開創時の仏殿が復元されました。重層入母屋造の唐様仏殿の美しさは、曲線を描く屋根の形状と軒先の均一に並ぶ垂木、それを支える組み物にあります。繊細な造りを際立たせる一層目の華やかな光と、それとは異なる艶やかな二層目の光のコントラストをご堪能ください。
電力:約360w 炊飯器(3合)と同量

勅使門/Cyokushimon

承天寺/勅使門 十六菊の家紋が配された勅使門はぴったりと閉ざされ、天皇陛下の勅使をお迎えするための門としての威厳を感じさせます。その家紋を立体的に照らし出すドラマチックな光は、より粛々とした雰囲気を創り出しています。
電力:約40w 扇風機と同量

山門/Sanmon

承天寺/山門 太平洋戦争時に焼失した山門ですが、平成3年、開創750年を機に復興されました。山門の内側から湧き出るような光が人々をやさしく迎えます。奥に見える鐘楼の袂の光が奥行きのある空間を創り出すと同時に、手前に茂る樹木がシルエットで浮かび上がります。光と自然が織り成す影絵をお楽しみください。
電力:約160w 冷蔵庫(小型)と同量
協賛:株式会社遠藤照明

泉水庭/Sensuitei

承天寺/泉水庭 洗濤庭から住職の居室である方丈を通り、奥に広がる泉水庭へ。ライトアップウォーク時にのみ拝観できるこの庭は、豊かな緑と緩やかな水路が静寂と安堵をもたらしくれます。まるで月明かりのような光を演出し、葉影を生み出すなど、庭園の「動」の美しさを生かした、光と影による幻想的な世界が広がります。
電力:約760w ホットカーペットと同量

洗濤庭/Sentotei

承天寺/洗濤庭 手前の白砂を玄界灘、奥の緑庭を中国と見立てた洗濤庭は、博多の大陸との交流を静かに今に伝えます。大海原の波形を思わせる砂の紋様を紺碧の光で照らし、アクセントの白い光で玄界灘の荒々しさを表現します。緑庭は奥の壁をほのかな光をあてることで樹木がシルエットで浮かび上がり、中国大陸のダイナミックさを創出しました。
電力:約420w 冷蔵庫と同量

開山堂/Kaizando

承天寺/開山堂 普段は足を踏み入れることができない開山堂。小さな門をくぐると苔むした地面にまっすぐ延びる石畳の参道が、光の道となって現れます。奥へと進めば、鎮座する聖一国師の姿が目の前に。直接拝観できる年に一度の貴重な時間を厳粛に包み込む光が、感動をより深めてくれます。
電力:約470w コーヒーメーカーと同量
協賛:株式会社ウシオスペックス協賛:山田照明株式会社協賛:オーデリック株式会社

東長寺/Tocho-ji

東長寺
 真言宗九州教団の本山で、弘法大師(空海)によって開かれました。平安時代初期の僧で、真言宗の開祖である弘法大師は大同元年(806年)、唐での修行を終え博多に帰着。真言密教が東方へ広がることを祈願し「東長密寺」と名付けました。大師はこのとき33歳、弘法大師創建としては日本最古の寺院です。
 本堂には、弘法大師自作と伝えられる弘法大師像、平安時代に制作された国指定重要文化財の木造千手観世音菩薩立像、弘法大師作といわれる不道明王立像の三体が据えられています。また、大仏殿には日本最大の木造座像「福岡大仏」が鎮座し、多くの人が拝観に訪れます。

六角堂/Rokkakudo

東長寺/六角堂 本堂前方に立つ福岡市指定文化財の六角堂。屋根は珍しい本瓦行基葺きで、九州では、ほかに大分県国東の国宝・富貴寺にだけ見られます。随所に卓越した技術が見られる凛とした六角堂の建築物のすばらしさと、暗闇の中に浮かび上がる仏像の繊細さ、優美さを際立たせる光の演出をお楽しみください。
電力:約270w ジューサーミキサーと同量

山門/Sanmon

東長寺/山門 昭和55年の修理の際、黒田藩の紋藤巴を入れた本瓦で葺き替えられた山門。大博通り沿いの喧騒を忘れさせる寺院の空間へと導く門の両サイドには、二体の仁王像が堂々たる姿で立っています。光によって浮かび上がる力強い仁王像が、東長寺の光の世界へ招き入れてくれます。
電力:約240w 冷蔵庫(小型)と同量
協賛:大光電機株式会社、TACT Lighting Design Office

本堂/Hondo

東長寺/本堂
規則正しく並ぶ軒部分の建具や白壁が最大限に美しく見える光の演出で、圧倒的な存在感を感じさせる重厚な本堂が印象的に闇に浮かび上がります。
電力:約420w 冷蔵庫と同量
協賛:株式会社ミツヤマ電気

妙楽寺/Myoraku-ji

妙楽寺
 東長寺東側の南北に走る小路奥に立つ妙楽寺は、正和5年(1316年)、大応国師の高弟である月堂宗規によって開山されました。草創の寺地は博多湾岸にあり、近くに石築地(防塁)があったことから、石城山妙楽円満禅寺といわれたそうです。遣明使一行が宿泊するなど対外交渉の一拠点となっており、博多商人とも関連の深い寺院です。境内には貿易に従事し家産を興し豊臣秀吉の知遇を得て、戦火によって荒廃した博多の町を復興、町割りにも貢献した博多商人三傑の一人、神屋宗湛の墓があります。大陸交流に一端を担った妙楽寺でいにしえに思いを馳せましょう。

園路/Enro

妙楽寺/園路 竹製の行灯が、山門から開山堂、方丈へと続く園路に等間隔に配置され、散策する人々を奥へといざないます。壁面に描き出された光の柱が足元を照らし、導かれる先の期待感が徐々に増していくようです。
電力:約240w 冷蔵庫(小型)と同量

山門/Sanmon

妙楽寺/山門 昭和56年の修理時に発見された棟札の写しにより、宝暦2年(1752年)に建設されたことが伺えます。脇に老木が切り立つ切妻造本瓦葺の四脚門は、温かみのある光で照らし出され、昼間とは違った雰囲気で人々を歓迎します。
電力:約310w ジューサーミキサーと同量
協賛:東芝ライテック株式会社

方丈/Hojo

妙楽寺/方丈 秋風に揺れる小さな光に導かれ中へ入ると、木々の間からこぼれる光が美しい方丈の姿をやさしく浮かび上がらせます。かつて美しい姿で元や明にまで知れ渡っていた高楼「呑碧楼」の名をたたえる方丈の趣ある情景は、秋の宵にぴったりです。
電力:約450w コーヒーメーカーと同量

開山堂/Kaizando

妙楽寺/開山堂 水月庵という塔頭を改造したと伝えられる開山堂は、棟札の写しから嘉永6年(1853年)の造作が推定できます。温かみのある光に包まれた重厚な木造建築の開山堂へは、石畳の両側に連なる行灯が導き、本尊へ近づくにつれ、タイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
電力:約730w IH炊飯器(3合)と同量
協賛:コイズミ照明株式会社協賛:パナソニック電工株式会社